黄色の本

 

 

Wolfgang Laib: Without Beginnig Without

Wolfgang Laib: Without Beginnig Without

  • 作者: Antonio Gamoneda,Jose Marin-medina
  • 出版社/メーカー: Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: ハードカバー
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空が暗く明るさが恋しいのか、雨の日は黄色い本に手が伸びます。

目に痛いほどのオレンジに近い黄色い表紙のwolfgang laibの作品集。

laibを知ったのは大学生のときでした。新聞の美術評論に載っていたのをたまたま見つけて国立近代美術館に足を運びました。はじめてのインスタレーションだったので、感じたことを言葉にすらできずに〝なんだかよくわからない違和感〟が残りました。

あのころよりは知識や経験も増えました。正しいかはわかりませんが少しはlaibの意図していたことがわかる気がします。

ミツロウやお米を使った作品、牛乳でつくるミルクストーンも好きですがやはりタンポポやヘーゼルナッツの花粉で四角形を描く作品に目を奪われます。

植物たちの命をつないでゆく花粉という生命そのものを、自然界には存在しない直線で表現すること。それは自然界と人の造り出すセカイの融合、また乖離を表現しているのかもしれません。

そしてインスタレーションの特徴として顕著なのは「作品が残らないということ」壊してしまえば作品はこの世から消えてしまいます。まるで一期一会です。

 

つい感情に傾きがちな日常で、感情を込めずに思考することは大切です。感情をいれずに考えること、本当にムズカシイのですが、毎日どんな些細なことでも理論的に考えることはいい訓練になるそうです。

感情ゆたかで、理論的に考えられるバランスのとれた人になれたらいいです。息子にもそれを望みます。

 

雨の日、laibの本を開きながらつらつらと考えます。