しつらい

 

室礼。季節の折り目折り目をきちんと重ねてゆく、美しいことばです。

ときを逃さず、丁寧に積み上げてゆくことは私には無理そうなので〝しつらい〟くらいの軽さでのぞみます。

額縁の絵や飾り棚の小物を季節に合ったものに変えます。小物はさまざまです。波に削られたまあるい石。緑、紫、すみれ色の小粒の蛍石。渋い色合いのうつわ、お香たて。絵本を立て掛けたり、イラストレーターさんの葉書を飾ったり。

 

omochiが飛び回るようになってからお花を飾ることがなくなりました。

植物には文鳥にとって有毒なものも多く、万が一食べてしまったらとおもうと怖くて飾れません。外で生きている小鳥なら野生の勘が働くのでしょうが、omochiは気になったものは何でも口にしてしまいそうです。

 

お花を飾ったときの、空気がぱあっと華やぐのは恋しいですが、どこかほっとした気もしています。

以前からお花が萎れてゆく、だんだん元気がなくなってゆくのを目にするのが苦手でした。枯れてしまったものをゴミ箱に捨てるとき、気持ちも表情も沈んでしまうのが自分でもわかりました。

〝飾らない〟と割りきってしまうと、もともと〝必要〟なんてなかった、私は私なりのしつらいをすればいいんだ、と肩の荷が降りたようにおもいます。そして手持ちの小物を飾るのがぐんと楽しくなりました。

 

自然や精神性に即した暮らし。その暮らし方も人それぞれ。

酷暑です。額縁の中を、次はtochiの魚の水彩画にしようか、藍とウコンで染めた絹にしようか考えているとわくわくします。