幸せの振り幅

 

いつものようにラジオをつけていると懐かしい歌が流れてきました。

もう20年前の、アルバムにしか入っていない大好きな曲だったので耳にできたことが奇跡のよう。胸が熱くなりました。

 

20年前。黒くて大きくて重たいCDラジカセを使っていました。銀色のアンテナを伸ばしてザーザーいわずうまく電波が入るところを見つけます。好きなCDをカセットテープに録音するとき、歌の途中で面が変わってしまうのが嫌で曲の長さを計算してA面で終わるところ、ちょっと緊張して停止ボタンを〝ガチャン〟と押します。カセットを裏返してつづきから録音します。

厚紙を切って曲名を書き込み自分だけのジャケットを作っていました。好きなシールでデコレーションもしました。いまおもうと随分てまひまかけていたものです。

 

tochiが3年生になったころくらいからでしょうか。頻繁に口にする言葉がありました。「めんどくさい」です。お友だちが来たとき会話を聞いてみるとどうやらみんなよく使うようです。

生まれたときからケータイやスマホがあったら時間がかかること、手間がかかることが「めんどくさい」とおもえてしまうのは仕方ないことです。子どもたちのせいではありません。

ただ無駄とおもえてしまう時間のなかに、かけがえのないときめきや楽しみがあることを知れたなら〝幸せ〟の振り幅がグンと広がって、日々の豊かさにつながるとおもうのです。

 「めんどくさい」は我が家では禁句です。一見嫌なこと、めんどくさいことでも「エイヤッ」と取り組んでみると面白かったり楽しかったりするのは、おとなも子どもも変わりませんね。

幸せの振り幅が広ーくなるといいです。