香炉

 

お月見に向けて香炉を飾りました。

月をおもわせる、あわい黄色のまあるい香炉は蓋にちょこんとウサギがいます。いまの私にはかわいすぎるのですが、色合いがなんともいえず美しいのでお月見が近づくと忘れず飾ります。この香炉は祖父の墓参に福岡へ行ったとき、百貨店で購入しました。大学生だったので桐箱のある器はドキドキして〝大人〟な気がしたのを覚えています。

 

この香炉をみていると一緒に暮らしていたウサギをおもいだします。ライオンウサギという、たてがみのある種類です。白い毛並みにところどころ茶や黒の毛が混じっていました。

秋の深まった10月、大学をどこにしようか迷っていた私は、母とともに気になる大学の文化祭に下見を兼ねて出掛けました。「いいかもしれない」が「ここに決めよう」と変わったその日、乗換駅の銀座で下車した私たちは本当にたまたま、松屋の屋上のペットショップでライオンウサギの子を見つけました。掌にのるくらいのふわふわなその子は小さく震えてはかなげにおもえました。以前飼っていたウサギを亡くして4年経っていました。

たてがみの細い毛が大輪菊の長い花弁にみえたこと、秋生まれだったことから〝キク〟と名づけました。一緒にお嫁入りし、亡くなったのはtochiが一歳のときです。

 

香炉が連れてくるいろいろな記憶。キクさんのこと、九州のこと、祖母のこと、大学のこと…

 

重陽秋分、お月見。お月見が近づいたらすすきを採りにいこうとおもいます。

 

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