夕方の街

 

夏休みのtochiとomochiを連れて母の家へ遊びに行きました。

父が夕飯をおごってくれることになり、通いなれた駅前商店街の小さな喫茶店へ行くことになりました。「混まないうちがいいね」と5時のチャイムを聞いて家を出ます。omochiには留守番してもらい、散歩がてらみんなで歩いて行きました。

台風が生暖かく湿った空気を置いて行き、まるで水槽のなかを歩いているようでした。でも上を見上げれば電線にはムクドリの群れがとまっていたり、地面を飛び交うスズメもせわしなく、カラスも啼いています。出歩いている人も多く、街が〝あるべきところへ帰ってゆく安心感〟にほっと包まれていました。

普段は夕飯の支度で忙しく出歩く時間ではありませんが、ふと手を休めて周りを見回してごらん、いろいろな発見があるよと夕方の街が教えてくれているようでした。

 

茶店では父とtochiは焼き肉定食、母は冷やし中華、私はエビと高菜のオムライスを注文しました。いつもと同じメニューといつもと同じおいしさ。「おいしいね、おいしいね」と夢中で食べて、お腹も心も充たされてにこにこ家路につきました。

 

7時をまわったくらいでした。空の色も深みを増して、遊歩道の桜たちも影絵のようです。ちょっと公園へ寄り道してtochiと階段で〝グリコのオマケ〟をして帰りました。

 

目線を変えてみることと変わらずにありつづけること。

変わらないことに闇雲に固執するのではなく、大切なことは掌で覆うように守りたいとぼんやりおもった夏の夕暮れでした。